山ではダウン以外では化繊素材を中綿に使用しているものもあります。
今回紹介するのは、そんな化繊綿のジャケット。
THE NORTH FACE(以下:ノース)のレッドポイントライトジャケットです。
まず化繊綿の特徴としては以下の通り。
■濡れに耐性あり。
■湿気に強い。
■ダウンと比較すると嵩張る。
自分は山の中綿保温着ではダウンよりも化繊を持って行くことが多いです。理由としては濡れに強い点があげられます。
これは湿気に強い特徴とも重なる部分はあるのですが、まず外からの水分(雨や雪)に対しての耐性と、身体から放出される汗などの蒸気による湿気のふたつがあります。
これがダウンの場合だと水分や湿気を含みやすいので、ロフト(中綿による嵩張り具合)が失われ、本来の保温性能が低下してしまう可能性が高いので、化繊を選択しているんです。
中綿ジャケットの保温性の優劣は、どれだけロフトを持っているのかが大きな要因でもあります。
空気層には外気を断熱する効果があり、ダウンは羽毛の持つ嵩張り力=ロフトで保温性に変えているので、着ると温かく感じるのは、この性質を利用しているからなのです。
単純にロフトの嵩張り幅があるほど、温かい保温性を得られるので、薄いものとふっくらとした分厚いダウンジャケットを比較すると、その差は歴然。
ただ、綿量を増やすと重量増しになるのが当然なので、ダウンの持つ特徴のひとつでもある、ロフトの復元力とされるフィルパワーを利用して羽毛量を抑え、少しでも軽量性を持たせようとしています。
これは当然そのまま化繊綿にも当てはまる事なので、いかに綿量を抑えつつ理想的な保温性を実現させるかが、各メーカーの商品開発力・腕の見せ所といった感じでしょうか。
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このジャケットも随所に機能性が見られます。
綿のかた寄りを防ぐ、バッフル構造。
細かい仕切りにより、保温性にムラが出るのを抑えています。
縫製方法はシングルキルト構造(裏表を貫通させるつぶし縫い。)で軽量性を優先。
ただデメリットでもある、縫製部分からの外気の侵入による保温性の低下を、薄いナイロンの裏地を加えることにより補ってくれています。これなら軽量性を維持しつつ保温性のバランスも良好。
ジッパーも細い番手を使用することで軽量性に一役貢献している。
袖口もシンプルに。
中綿にもかなりの特徴が。それがこれ「サーモボール」。
化繊の中綿はシート状のものが従来製品に対して、サーモボールは球体状に加工することで、ダウンの様なふっくら感、ロフト感を実現しています。
このお陰で着心地も柔らかく、保温性も高く、ダウンジャケットと言われても分からないぐらいレベル。個人的な感想として、同じような薄手のインナーダウンジャケットと比較しても遜色ありません。
水濡れや湿気に強く、さらにダウン並の保温性能があるので、山ではすっかり重宝してます。
冬山ではもちろん、3シーズンでの保温着にちょうど使いやすいです。
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【レッドポイントライトジャケット】
メーカー / THE NORTH FACE
重量 / 275g(男性Mサイズ)
素材 / サーモボール
主な使用用途 / オールシーズンの保温着、冬の低温下での行動着。