山のひとつのスタイルである“トレイルランニング”
今回紹介する山の本は、新旧でのトレラン本。この比較はかなり面白い。
今でこそ全国で大会が開催され認知されてきたけど、ちょっと前ではごく一部の登山者達の中で行われてきたもの。自分はその昔の時代を知らない訳で、その時代を知る先輩方に色々聞くしかないのですが。
こうして手元にある二冊を読み比べると、面白いもんです。
日本では富士山で行われる富士登山競走が古くから行われてきた、その他では日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)などがそれに当たります。
ただ、トレイルランニングという言葉は欧米より伝わった言葉で、日本では山岳走とでも言うのか、スタイルとしては山頂を目指す形が多いように思います。
海外に比べて国土がコンパクトなので、登山道は山頂を目指すように整備されてきた歴史もあるので、海外の言葉で表現するなら、どちらかで言えばスカイランニングのほうがイメージとしては近いかもしれません。
それぞれのタイトルだけでも全然違う。
『ランニング登山』と書かれているほうは、著者は下嶋溪さん。(1986年初版)
『トレイルランニング』は日本を代表するランナーの鏑木毅さん。(2009年初版)
それぞれに、トレランについて詳しく書かれており、始め方や走り方のコツなど、丁寧に書き綴られており、走る上では是非とも読んでおきたい内容となっている。
-----「あなたの趣味は?」と問われて、「山登りです」あるいは「ランニングです」と答えているうちは相手の反応も穏やかだが、それらをまとめて「山を走ることです」と答えると様子はかなり変わり、「山って走るものなのですか?」と変人、奇人扱いされ、話の途切れるのが落ちである。-----
-----従来、山道は歩くもの、と考えられてきました。しかし、木漏れ日の射すしっとりとした森や、眺めの良い爽快なトレイルを、自分のリズムで軽快に走ることが、たんに「歩く」こと以上に楽しく奥深いものということに、ここ最近は多くの方々が気づき始めています。-----
これは、それぞれの冒頭で書かれている著者それぞれの言葉です。
下鴨氏の書かれている内容からも相当な走力を感じますし、鏑木さんの実力は世界が認めるところ。たらればは無いのですが、仮に同じ時代に二人が出会えばどうなったことか…
それを想像するだけでも、ぞくぞくしてしまう。
この二冊ともまだお読みでない方は是非。
走りたくなりますよ。
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『 ランニング登山 』山と渓谷
下嶋溪・著
『トレイルランニング』枻出版
鏑木毅・著
☞Bookのページにて山をテーマにした本を紹介しています。