日本では冬の季節にも関わらずたくさんの登山者達が山を歩く。
寒い中たくさん積もった雪に時にはラッセルで格闘しながら歩く(笑)。
冬の時期の山では里に近いエリア以外になると、自然環境が厳しくなり夏や秋に比べてみても困難になってくる。特に1月から3月にかけての“厳冬期”と呼ばれる時期が、日本で行う山登りとして(※クライミングは除く一般的な登山の対象として)は最も厳しくなるが、だからこそ気軽に歩くよりは挑戦する感じが一層強まり、冬山は一種独特な世界とも言えます。
例を挙げてみると関東近郊なら丹沢や奥多摩ならば初心者の人でも歩ける可能性が高いが、奥秩父(甲武信ヶ岳など)や八ヶ岳(特に赤岳や権現岳などの南八ヶ岳)になってくると冬山未経験者だけで歩くのはけっこう危なかっしい所になってきます。
稜線歩きならばアイゼン・ピッケルは必携用具 |
このブログのタイトルが“Mountain Hiking”なのですが、厳冬期の冬山には簡単にはなかなかハイキングと言えるような気軽な山の表情が少なくなり、本格的な山登りの世界へと変化します。
例えば夏に富士山を登った程度の経験値では、必ずしも万全とは言えないレベルになります。更にハッキリ言うなら、その程度のレベルではピッケル・アイゼンが必要な本格的な冬山はやめて、軽アイゼンで歩けるレベルの低山で先ずは始めてみるほうが、身の丈だとも言えるし、命の危険性を感じてしまうようなら無理は禁物です。
夏や秋とは違った美しい表情を見せてくれるのも雪山の魅力のひとつなのは間違いのない事実ですし、素晴らしい銀世界に魅了され、それに会いたくなり歩くわけですが、その対価として一番危険性が高いリスクを抱えなければいけないのも雪山の事実なのです。
視界一面が銀世界 |
白き峰々 |
シュカブラは冬山ならではの表情 |
自然は想像を絶するくらい美しい表情で迎えてくれます。
大変な思いをしながら、そうした神秘的な瞬間を見られるのは山歩きの特権とも言えます。
でも、絶対に無理はしないでください。
山は逃げないんですから、一歩一歩確実に進んでいけばいいんだと自分に言い聞かせながら…
自然は偉大で時として畏敬の念を抱かずにはおけません。冬山は正直一番怖い季節だけど、挑戦する意味においてはけっして無意味じゃない世界にも感じます。
自然の中で何かしようとするのは、人間的な部分が大きくあるし、たぶん人間だから考えれる発想なんだとも感じる。
一見すると何も存在しないような厳しい世界に一人でいると、自分の存在って痛いほど小さく感じるし不安にもなってくる。
けれども、この季節が近づいてくると自然と足が進んでしまう自分がいたりするのも事実です。
これはもう説明しようと抗っても無理な気もしてくる。本能にも似た部分なのかもしれません。
安全対策を怠らず歩きたい |
登っている自分が言うのも何なのですが、何も考えずに歩いているならば絶対に冬山には来ない方がいいし、仮にステップアップが面倒だからと、自分の経験以上のハードルの高い冬山からスタートするならば、同じく登りに来ない方が賢明だと思います。
夏山と違いより誤魔化しがきかなくなってくるからです(けっして夏山なら誤魔化せるという意味ではありません)。
遭難した時に出動するのは山岳警備隊や地元の遭対協の方々です。人を助けるときも命がけで行われているのです。
しっかりと冬山登山をしたいなら経験のある方と一緒になりピッケル・アイゼンの使い方などを教わるべき。仮にこれが面倒だと思うならば登りに来ない方が周りに迷惑がかかりません。
それぐらい強く言いたいぐらい、冬山は厳しい世界なんです。
自分も登山を始めて11年目ですが、雪山の経験は4年になります。山では単に年数よりも何より経験(中身)が重要だと思うのですが、昨シーズンは八ヶ岳の赤岳を登る計画でしたが流れてしまい、来年に登る計画を改めて考えているところ。時間がかかって大変な部分ではあるけど、決して背伸びせず少しずつ経験を積んでいく方が、冬山では大切な部分と考えます。
最後に。矛盾してるかもしれないけど、まだ夏山中心の経験の人には雪の山歩きもぜひ始めてほしいです。
単に無責任で言っている訳じゃないのですが、リスクを享受した上でトライしてもらいたいです。経験に勝る物はないですし、本来山歩きの冒険的な要素も含んでいるので、自然に対して尊敬しつつ挑戦していくところに山歩きの素晴らしさが見てくるはずなので。
あ、でも装備は冬山用のものがけっこう必要なので、装備が無い人は無理は禁物です。
いきなり大変だけど歩いてみたい衝動にかられたら、先ずは軽アイゼンで歩ける低山ハイクから始めてみてください。
-Mountain Hiking-