2014-05-25

シューズの種類 ~アウトドアシューズ編~


山を歩くハイキングですが、シューズは大切な道具の一つ。種類も多種多様に出てます。シューズの選び方と言うのか、この場面では絶対に“これ!!”ってものは必ずしも決めつけれないもんです。各種類それぞれに特徴もありますし、履く人の経験値もひとそれぞれですから。
今回は種類も含めて紹介。

いい靴に必要な条件要素として…
①踵がしっかりと収まる。ヒールカップに芯材などが入り固定感(フィッティング)の良い作り。
②靴底がぐにゃぐにゃとねじれない。着地時に足元を安定させる為ある程度のソール剛性がある。
③フレックスポイントが適切な位置(拇指球のあたり)にあり、足運びがスムーズか。
…以上の3点が、まずアウトドアシューズでは抑えて欲しい、履きやすく且つ動きやすい靴の条件です。

ローカットシューズ
【ローカット】
ハイキングシューズのスニーカー的位置づけ・存在。シューズ自体の軽量性があります。
長い距離を疲労を軽減させ歩きやすいように作られています。
足首の自由度は高く軽快さが持ち味なのですが、逆を言えば下山時に足首が不安定になりやすいので捻挫が起こりやすく、日帰り目的の里山ハイクや低山など高低差の少ない場所に適応します。荷物の重さが軽量な場面などでも使いやすい。足首の固定感はないので、メリットとして軽快に歩けるタイプです。
初心者のハイカーにはおすすめしにくいですが、ある程度経験がついてくると使いやすいです。荷物を軽くする事で本来の良さが引き出され、より使いやすくなるタイプです。

ミドルカットシューズ
【ミドルカット】
初めの一足として選ばれる事が多いです。足首の固定感も程々に軽量性があるのが特徴。
ある程度高低差の出てくる場面でも無難に使えます。ソール硬度も軟らかく歩きやすいです。荷物の重量目安としては10kgを超す場面だと、路面の突き上げ感を感じやすく、慣れていないと疲れやすい面もあります。テントを担ぐようなヘビーな荷物よりも、比較的荷物量が多くならない山小屋ハイクなどに適応性が高いです。ローカット同様に、軽快に歩けるので荷物を軽く出来れば使える幅が広がるタイプです。

ハイカットシューズ①
ハイカットシューズ②
【ハイカット/ライトマウンテンブーツ】
ソール硬度も固くなり(手で曲げられるがやや固く感じるくらい)。10kg以上の重たい荷物にも対応しやすいタイプです。テントを担ぎ縦走する場面などでは非常に使いやすいですし、日帰りでも比較的対応してくれ汎用性は意外と広いと思います。
トレイル上に岩場や鎖場のある所でも歩きやすいように設計されています。
ソール交換が可能な場合が多いのも嬉しいポイントでしょうか。写真②のような昔ながらの出し縫い製法ではゴロー(東京都巣鴨)やダナー(米国)が有名です。ちなみに自分はザンバランのクラシコというモデルを愛用しています。
冬山ハイクに使う場合では、使用するアイゼンとしては軽アイゼンに適応します。10本や12本の前爪アイゼンの装着は想定していないタイプが多いです。

マウンテンブーツ
【ハイカット/アルパインブーツ】
ソール硬度はさらに固く(手で曲げれないくらい)なります。
ハイカットシューズですが、踵部分にコバのあるタイプが多くあり、10本以上のセミワンタッチアイゼンの装着にも対応する、ソール硬度がかなり固いタイプです。さらにワンタッチ式アイゼンにも対応できる前コバのあるタイプも、一部のメーカーから販売されています。
足元が不安定な本格的な岩場やガレ場、雪渓で使いやすくする為に設計されています。
本格的な冬山をやりたい人はこういった種類が必要です。さらに保温材・断熱材の入った物と、入っていない物とに大別されますが、それにより対応する気温が異なります。
保温剤のないタイプは基本的には3シーズン用と考えてください。アイゼンは対応するので冬山でも使えそうな感覚になりますが、市場の大半はヨーロッパメーカーが占めています。あの地域は夏でも前爪アイゼンを使う山があるのです。日本の冬山は気温の低い環境なので保温性で対応しにくい事が多くなり不安が残ります。出来れば厳冬期用の保温性の高いモデルが冬山では使いやすいです。
ここまで本格的になると低山ではオーバースペック気味です。ある程度重荷を背負う事も考慮しているので、やはり本来の目的としては高山歩行です。


ゲーター一体型のマウンテンブーツ
【ゲーター式マウンテンブーツ】
冬山用途。シングルとダブルタイプに大別されます。シングルは極度の低温にならない山や季節に。ダブルは気温の低い極地使用でも対応できます。ヒマラヤ登山では現在主流のシューズです。
靴が二重構造になっているので保温性が抜群です。ちなみに自分は厳冬期に使っています。指先が極度に冷え込む体質なので、色々試しましたがこの種類に落ち着き解決しました。
テント泊で縦走しても靴の内部が凍結しないので、過酷な環境下でも信頼性は高く、安心感も違います。逆に厳冬期以外では熱くて使えません(泣)。

トレイルランニングシューズ
【トレイルランニング用】
山の中を駆け走るトレランに適したタイプです。
ローカットシューズ似ている部分もありますが、こちらのほうがソールの屈曲がスムーズでフィット感が高く、軽量化されランニング目的に特化させています。ローカットにはあまり見られない横方向のソールの柔軟性もあり、それにより多方向からの着地に対応できるため、ランニング時の足運びをスムーズにしてくれます。
着地時の衝撃吸収性の優れたタイプから、スピード対応させるソールが薄いタイプなど、走力レベルに合わせ多種多様に出ています。
防水性のあるタイプは全体を通して少ないです。靴内部の排水性を良くし水分を逃し、濡れてしまう場面に対応させています。
トレラン以外でも一部ハイカーが好んで履いている事が増えています。かくいう私もその中の一人です。荷物を軽くし足元の負担を少なくすれば一泊以上の幕営ハイキングでも十分に使えます。

アプローチシューズ
【アプローチシューズ】
クライミングのゲレンデまでのアプローチを歩くために使われるタイプです。
防水性はなく、ソールのグリップ性ではクライミングシューズ並にあるのが特徴です。岩場などで特に効力を発揮するので、簡易的なクライミングシューズ感覚で履くことが可能になります。
ソールは薄いので地面との感覚も近く、場合によってはハイキング等に使うこともできます。

スニーカー
【優しい山でもスニーカーがあまりお薦めできない理由。】
本来は山ではなくタウン用途で履きやすいように設計されたシューズなので、当然ハイキングにも使いにくい部分が多いとも言えます。
アスファルトは完全なる人口建造物です。路面は硬くフラットで凹凸はありません。そのような路面はトレイルでは存在しませんし、スニーカーは街中のアスファルトを歩きやすくする目的があるのと、靴底も全体的な部分で曲がったりするので、山には適していません。ソール構造もフラットなので、ハイキングではグリップ性に不安があります。
仮に使うなら、高尾山や鎌倉ハイキング。上高地や尾瀬や街中の丘陵地などの観光地のハイキング程度には使えます。ただ、そういった程度のレベルでもローカットシューズのほうが安定して歩けるので軍配が上がります。
防水性も弱いので、雨が降った時の不快感があるのと、優しいハイキングコースでも路面グリップ力は弱いです。


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以上がシューズの種類の分類です。
目的の山や、テント等々の形態や、荷物の量などでも選択するシューズは様々。もちろん個人的な好みも反映されると思います。

自分の場合はテントを背負う場合は荷物の重さも増えるのでソールの固いハイカット以上を選びますし、最近はツェルト泊を好んで行うので、その場合はミドルカット以下のシューズで歩いています。
それぞれに特徴はあるので、絶対これじゃないと難しい場面なんかは限定できないのも事実だと考えてます。
ただ、いくら荷物が軽い場合でも、冬山には保温性の少ないタイプや、アイゼンを装着できないタイプで行ってしまうと危険度が高まる場合もあるので、限定的な場合はもちろんあります。

個人的な意見としては、歩いていて「これ、ちょっと無理…」なんて感じたら違うタイプを履いてみるとかで、とりあえず試してみるのがいいと思います。
経験値も違ってくる場面もありますが、しっかりしたシューズを選べば、シューズがサポート役になり楽に歩けたりもするので。ハイキングがこれからって場合なら足首のサポートがあるタイプの方がきっと楽に感じれるはずです。

色々とシューズを試してみるのも、ハイキングが同じ場所、同じ荷物でも違った視点で捉えられるので面白いと思いますよ。

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Hike Noteのページ。