2014-03-28

山ギアニュース 夏用シュラフの新提案になるか!?

三鷹にあるULギアを扱うショップ『ハイカーズデポ(Hiker`s Depot)』
オープンされて5年以上経過したと思いますが、今までショップオリジナルの商品も生み出され、単なるショップだけに留まらない感じ。店主の土屋さんはじめ、ハイキングフィールドでの経験が新たな山道具の提案へと繋がっている、何ともいい循環を生み出しているところです。
ブランド名はハイランドデザイン(Highland Designs)。
商品名はミニモキルトUDD。


最近ショップが発表しているオリジナルプロダクトでは寝袋がけっこう熱い感じになっている。
綿の素材にはUDDダウン(UDDとは、ウルトラドライダウンの意)を使用。いわゆる超耐久撥水加工された羽毛ですが、この超耐久撥水加工は大手メーカーもこぞって取り入れている、最近のアウトドアのトレンドのようなもの。既存のダウンでも一部のメーカーでは撥水加工がされてきたのですが、それを凌ぐ形で生まれたのがこのダウン加工の技術。
「あぁ、あそこも始めたのね。」ってぐらいにけっこうな数のメーカーが採用し始めた感じに。

本来ダウンは湿気に弱く(鳥が雨とかに濡れるとやたらと貧相に見えるあれです。)、水分を吸ってしまうので、長らく化繊綿が湿気対策として用いられた経緯があったところに、湿気に強いダウンを新たな提案としてきたのが始まり。と言っても撥水は防水には代わり得ないので、外部からの濡れに対してはシュラフカバーを併用したほうが無難、特に雨の多い日本のトレイルでは有効でしょう。
ただ、自分自身から放出される汗などの原因での結露=湿気に対しては、耐久撥水ダウンはロフトを失わずに温かさをキープする上では有効な素材ではないでしょうか。

その撥水力は今のところ比較するレベルのデータなどは公表されてないので、表現としては『耐久撥水なので、濡れの心配はかなり減りました!』ぐらいなモノなので、正確な事は未知数な部分もあるのだけども、ま、嬉しいトピックスではないだろうか。
濡れた寝袋ほど悲惨なものもないってぐらいですから、あれは一種の地獄(笑)。


と、ちょっとダウンについて説明に入ったけど本題に戻そう。。。

これが新作品のシュラフ

なんと重量は300g切りの超軽量仕上げ。3シーズン用途としては最軽量クラスの重量。
なんでもトランスジャパンアルプスレースに出場選手の意見を取り入れ商品化したそう。
トランスジャパンアルプスレース:TJAR=2年に一度開催される日本アルプスを日本海から太平洋まで縦断する耐久アドベンチャーレース。

なるほど、それでここまで切り詰めた重量になっているのか。。。形状はフード部分を除いた封筒型に近く、背中のバック部分には切り込みが入り、マットと併用して使うようになっている。就寝時に体重で背中部分のロフトが潰れてしまうので、軽量化シュラフに見られる切り込み式パターンである。
ただ、そのままだと切り込み解放部が広がり保温性が得られないので、紐とかで結び止めて使うわけです。思い切った軽量化を実現するために用いられる手法ですね。

それで得られた重量が275gという、まさに軽量化に特化した寝袋と言える。
使用想定シーズンは当然、夏場になる。
これをどう見るかは個人の判断になるし、道具を選ぶのは楽しい部分でもあるので、新しい提案という意味でこの寝袋を捉えた場合は、やっぱり興味深いところでしょうか。

※詳しくはショップのHPに紹介されているので、そちらを参考に。


現在所有している3シーズン用ではモンベルの450gのシュラフなので、新しく検討していた寝袋ではイスカのAir150X130X。こちらはそれぞれ360g、300gで形状も同様タイプのシュラフ。
こちらも十分に軽いので、軽量化にはかなり効果が見込める。
保温性はモンベルのを使った感想では夏の3000m峰でも快適に過ごせるので、シュラフ自重=羽毛量=保温性を落として軽量タイプに切り替えても快適性はそこまで失われない計算がたつ。
シュラフを軽量化する手段として……
■シェル(綿を包むナイロンやポリエステル生地)を薄くする。
■綿量の減調整。
■ダウンならばフィルパワー(羽毛の品質グレード)値の向上。
■シュラフの形状変化。
……などが挙げられるけど、ここ数年で急激に軽量化の動きがあったので、何となく限界値までには達してそうなイメージもある。
あとは使い手の耐久使用温度で軽く?するしかないけども、あまり無理してシュラフを薄くするあまり寒さで寝れないのでは、ただの我慢自慢になるので(笑)。
自分でも、そのあたりは一線を越えてまで実行しようとは思わない訳です。


自分の想定する夏山の幕営山行は……
■幕帯はツエルトを使用。
■シュラフは薄着(就寝着は下着のみ)で快適に感じられる温度帯ではなく、+α防寒着と併用し保温性をアップしたものを選択。
■ツエルトの弱点の結露発生があるので1泊以上のケースではシュラフカバー(保温性も上がる)を使用する。

軽量シュラフのもうひとつの利点として、冬期山行の時に保温性をUPさせるインナーシュラフとしての側面としても使えるので、軽いのにも利便性が高い。
ほとんどイスカで決まりかけていたので、新たな検討品が出てきたのは面白いし、道具好きとしてこれは嬉しい悩みの種。
夏用シュラフの軽量化の過程も、またしばらく様子を見てみたいところです。


-Mountain Hiking-